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什器の話

友達と会う約束があるときはだいたい約束の時間の1時間から30分くらい早く着くようにして、その近くの本屋さんに行きます。

いつものように早めに現地に着いたので、どこか近くに本屋さんがないかと探したところ、駅ビルの中に丸善があるというので、早速向かってみました。

エスカレーターをあがって正面には文房具売場があり、丸善らしい雰囲気を感じながら店の奥に進むと、ずらりと並ぶ書棚が。

しかしそこで、唐突な違和感に立ち尽くしてしまったのです。理由もわからないまま、私は混乱の渦に巻き込まれました。何か変なのはわかるけど一体何が変なのか・・・・・・。

しばらく眺めているうちに、ようやく気がつきました。違和感の正体は棚でした。棚といっても中身ではなく外見、つまり什器です。

どっしりとした末広がりの黒い木の什器は、ジュンク堂の什器として見慣れたものでした。逆に言えば、丸善という屋号を頭に入れた状態で見るには、あまりに違和感のある光景だったのです。

 

今では丸善ジュンク堂の什器が入っている光景はよく見かけるものとなりましたし、そもそも丸善ジュンクでもお店によって什器も様々で、所謂丸善の什器といって思い浮かべる白っぽい金属の棚を見る機会のほうが減った気がします。こうして書いておきながら丸善の什器って本当にあれだったっけと少し自信がなくなるくらい。

たしかそのころは丸善ジュンクは業務提携を発表していたものの、また統合はしていなかったと思います。というより、そのころの私には本屋さんを取り巻く業界の動向なんて全くわからず、丸善丸善ジュンク堂ジュンク堂でした。

そうしたなかで、目の前に広がる光景が思ってた本屋さんではないという違和感が、思いがけず私にとってはショッキングな出来事だったのです。

そして、無意識のうちに什器と書店を結びつけて考えていたことに気がついたのでした。

 

この出来事をきっかけに、私の書店での楽しみがひとつ増えました。什器を観察すること。意識的に観察してみると、意外とお店によって特徴があって面白いことがわかります。

 

たとえばくまざわ書店では、アクリルの什器が使われています。

特に店頭の新刊・話題書コーナーで活用されていることが多いですが、透明な什器のおかげで本そのものが引き立ち、面陳の表紙も目立ちやすくなっています。

一方で、横浜ランドマークタワー内の店舗のように、店前の通路に面してさながらショーウィンドーのような役割を担っていることもあります。

 

今まで見てきた中で一番好きな什器は、ブックファーストの雑誌の什器です。

雑誌の什器というと、面陳を数段重ねて差すマガジンラックのようなものが一般的ですが、ブックファーストの什器は面陳できるのは一段のみ。

さらに什器の上部に照明がついていて、面陳された表紙を美しく照らしています。

ここまで雑誌が映える什器は他にないのではないかと思いました。

ブックファーストではほとんどの什器に照明がついていて、小さいスペースに棚を詰め込んだ店舗の多いイメージですが、おかげで圧迫感は少なく、落ち着いた印象を与えてくれます。

 

 

ところで、この話を友人にしたところ、そもそも屋号で書店を区別すること自体がわからないと言われたこともありました。

たしかに普段書店に行かない人にとっては、「駅の本屋」「大学の近くの本屋」「ショッピングモールの本屋」というくらいで、「BOOKEXPRESS」「あゆみBOOKS」「くまざわ書店」なんて名前は関係ないのかもしれません。

本が好きな人にとっては、屋号・立地・大きさから何となく自分がいま欲しい本がそのお店に売っているかどうかの想像もつきます。

メジャーなコミックの新刊だったらBOOKEXPRESSでも買えるだろうけど、人文書の新刊はなさそうだからあっちまで行くか、とか。

でもそうじゃない人にとっては、どこの本屋さんも同じだから、自分が欲しい本が売っていなければ、失望してしまう。これって意外と難しい問題なのかも。