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好きなものとか

読書とかアイドルとか

ブックカバーの誘惑はあるけれど

本が好きです。


一番初めに「好きな人や物が多過ぎて見放されてしまいそうだ」(「月に負け犬」椎名林檎)のようなことを書いておいてあれですが、もし何か一つだけ好きな物を挙げろと言われれば本が好き、読書が趣味というくらいには本が好きです。
胸を張って言えるほどの量は読んでないけど、駅の小さな本屋さんも含めればだいたい毎日本屋さんには行くし、鞄に一冊は本を入れておきたいし、月に使うお金は本代かアイドル代が一番を占めていると思う。

 


そんな私にとって目下最大の悩み事が「可愛いブックカバー多すぎ問題」です。
読書雑貨って最近増えましたよね。書店の複合化の流れで雑貨を扱う書店が増えたことや書店と相性のいい雑貨は何かと言えば当然読書関連商品だということから、気がつけば読書雑貨専門のブランドまでできるくらい、市場が拡大しているのかなと感じます。
そもそもファッション読書みたいなものもあるし、ちょっとお洒落なブックカバーつけてカフェで読書とかしたいじゃん?
あるいはペンとか付箋とかを入れておけるポーチみたいなブックカバーとか、自分で大きさを変えてどんな判型にも対応できるブックカバーとか、絶対便利。
というかわざわざ買わなくても、本屋さんでもらえる書皮(いわゆる紙のカバー)も十分デザインが凝っててそのまま使いたくなるくらい。最近は書皮を特集した本まで出てるとか。

そんなわけで「どれを使おうか迷っちゃう~」みたいな悩みだったらよかったんですが。
問題はそこではないのです。
何より問題なのはこんなに魅力的なブックカバーが多いなか、私自身はブックカバーを使いたくない派だということなんです。

 

たとえば電車の中で、目の前に座っている方がお洒落なブックカバーをつけた本を熱心に読んでいるとして、「わあ、ブックカバー素敵!」となりますか?
私だったら
「あなたがそんなに熱心に読んでいるその本のタイトルは何なのよ!見せてよ!」
という気持ちです。
むしろブックカバー邪魔。

かろうじて見える柱から何の本だか推察しようとしたり、あの組版なら講談社文庫かなとか予測したり。気になって仕方がない。
目の前に面白そうな本があるのにタイトルがわからないときの焦れったさといったら!
スマフォ片手に調べてはみるものの、探し出せないことも多々あるのです。いっそ話しかけて聞いてしまおうかと思ったことも数知れず。いまだに実行に移したことはないのですが。


ちなみにいま「電車 読書 のぞき」でぐぐってみたら、Webちくまで武田砂鉄さんが「のぞきみ読書」という連載をされていました。
のぞきみ読書で焦れったい思いをされたことがある方、どうかご自身もブックカバーをつけずに本を読んでくださいませ。


それにやっぱり、こんな面白い本読んでるんだよって、自慢したいじゃないですか。こんなに面白い本があるんだよって知ってほしいじゃないですか。
ジェラールの欲望の三角形じゃないですけど、誰しも他人が持っているものは気になるわけで、もしかしたら私のこの一瞬がきっかけで誰かが本を買ってくれるかもしれないと思って、心持ち表紙が見えやすいような角度を意識してみたりして。(もちろん満員電車では邪魔にならないように配慮した上で)

私、いつかどこかで出会ってみたい光景があるんです。
「重版出来」(松田奈緒子)の1巻で、出版社の営業担当がメインのお話があって、最後の方シーンで、電車の中で何人もの人が、その人が担当したコミックや、その掲載紙、特集の雑誌を読んでいるっていう光景が描かれているんです。
いま、朝の電車を眺めてみても、カフェに入って周りを見渡してみても、人々が手にしているのはスマートフォンばかり。本を読んでいる人の割合は、何%くらいだろうと考えてしまうことがあります。
この割合が少しでも増えたら、「あれ、最近読書ブームでもあるのかな」なんて思う人が出てきたら、もしかしたら少しだけ、本の未来が明るくなることがあるのかもしれないなんて、夢を見ているんです。


消費の原則にも単純接触効果というものもあるわけで、普段全く本屋さんに行かない人にとっては、本というものに接触する機会自体が失われつつあるとすれば、「本を読んでいる人がいるな」という認識だけでも、少しは影響があるかもしれません。
だから、本が好きで、これから先も豊かな本の文化の広がりが続いてほしいと願っている方々には、ぜひ積極的に外で本を読んでほしい。
そして、できれば何を読んでいるかわかるように、ブックカバーはつけないでほしいな、なんて。


とはいえ、何を読んでいるか知られたくないという人も当然いらっしゃると思うので、そういう方はブックカバーを使っていただいた方がいいと思うのですが、中には表紙が汚れるのが嫌だとか、鞄の中で折れるのが嫌だからという理由でブックカバーを使うという方もいらっしゃると思うんです。

タイトルは見えてもいいけど、本を汚したくないからカバーはかけたいという場合はどうしたらいいのか……。
そこでためしに「背表紙だけ見えるブックカバー」をぐぐってみたら、「UN TROIS CINQのブックカバー」というものがありました。背表紙の部分が透明窓になっていて、再剥離仕様のシールで背表紙を見せたり隠したりできるというものです。

え、これよくないですか?むしろ背表紙だけ見せることでタイトルを主張できる……?
残念ながらメーカー在庫終了のようで、いまは手に入らないみたいです。
ちょっと使ってみたかったな。再販されるか、どこかで同じような商品が作られることを期待しています。

そして願わくばこの先、可愛くてお洒落で欲しくなってしまうブックカバーなんかに出会わずに済みますように!